調整内容レポート その5(Snow Wolf バレット M107A1:後編)

前置きなしで、Gnnsmithバトン基本調整内容レポート、Snow Wolf バレット M107A1の後編を進めて参ります(前編はこちら




調整内容レポート その5(Snow Wolf バレット M107A1:後編)


今回は通常調整なので、もともと入っていたピストンを活用する方向で作業を進めることにしました。まずはピストンを強力パーツクリーナーで洗浄しつつ、全体にヒビや欠け、歪み等が無いかを確認します。



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洗浄中に発見した細かいバリを、洗浄完了後、デザインナイフで丁寧にそぎ落とします。



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ラックギヤの部分にもバリがあったので、これも切除しています。



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油分を落とし、バリを取り除いたピストンがこちらです。強めのスプリングを使う流速チューンやハイサイクルカスタム等を施さないノーマルチューンであれば、標準装備の樹脂製ピストンで充分使用に耐えてくれます。無論、この段階でピストンに何らかの問題があった場合は、新品のピストンに交換しています。



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真鍮製のフルシリンダーが入っていましたが、ピストンヘッドとの気密も良好だったため、今回はシールテープでの気密取りは不要でした。このあたりのパーツは意外にしっかり作られていますね。



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シリンダーヘッドから付き出したノズルに、シリコングリスを薄く塗布している様子です。ここに、給弾ノズルをかぶせるわけです。



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ピストン両サイドのレールと、ラックギヤ、ピストンOリングまわりにもシリコングリスを塗布します。



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上記の作業を終えたシリンダーとピストンを組み合わせ、給弾ノズルの先端を指で押さえた状態で後方からピストンを押し込み、気密漏れの有無を確認します。今回はもともとのパーツの組み合わせでしたが、気密についてはまったく問題ありませんでした。



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こちらの画像はタペットプレートを側面から写したものですが、きれいに直角が出ているのがおわかりいただけると思います。この部分が前後に歪んでいることが多い中華エアガンの中では、なかなかに珍しいケースです。過去記事のように、前面エッジ付近のバリ取り作業は行いましたが、この部分からも、内部パーツがしっかりしているという事実が伺えますね。



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パーツ洗浄、シム調整、グリスアップ等、必要な調整のすべてを施した内部パーツを組み付け、スプリングをBATON airsoft 電動ガン用スプリングに交換して、メカボックスを閉じます。ここまでの作業で、メカボックスの動作については調整が完了したわけですが、チャンバーとバレルを組み付けて、実際にBB弾を発射してみるまで完成とは言えないのです。



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バレットのロアーレシーバーにメカボックスを組み込み、グリップを取り付けます。



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モーターにSBD(ショットキーバリアダイオード)を装着し、グリップ内に組み付けて、ロアーレシーバーの組み立ては完了です。ベベルギヤを交換し、入念にシム調整を行った甲斐があり、バッテリーを繋いで動作を確認したところ、ノイズの少ない、スムーズな回転に仕上がっていました。



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お次は、バレル、チャンバーまわりの調整にとりかかります。Snow Wolf製バレット M107A1には、670mmという驚くほど長いインナーバレルが入っています。



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画像の順番が前後して申し訳ありません。分解したアッパーレシーバーからアウターバレルを引き抜いた際、インナーバレルの前半部分にスペーサーが取り付けられていたのですが、ご覧のようにいい加減な状態になっていました。



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このアルミ製バレルスペーサーが、アウターバレル内でのインナーバレルのブレを防止してくれるのですが、担当チューナーによれば、「入っていてラッキー」とのこと。バレットの場合、このスペーサーがそもそも入っていないことがままあり、そういった場合は旋盤削り出しで作り起こしているのだそうです。また、入っていたとしても、サイズ、材質ともにまちまちとのことで、このあたりも中華クオリティといったところなのでしょうね。



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長すぎるインナーバレルを旋盤加工でカットします。バレルの長さは初速、シリンダー容量、使用するBB弾、ホップ形式など様々な要素により最適値があり、長ければ長いほど精度や初速が向上するわけではありません(同様に、タイトバレルを使えば必ずしも精度が向上するわけでもありません)。それぞれのモデルや施工するチューンに適したバレル長・バレル内径があり、日本の初速規制下において、そのノーマルが著しく不適切なバレル長の場合、当店ではノーマルチューンでもバレルを加工しています。



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弾道と集弾性に大きく影響する切断面も、旋盤加工で入念に仕上げます。



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こちらが加工を終えたインナーバレル。その最適値は個別に調べる必要がありますが、当店は、自社で取扱いの中華エアガンだけでなく、お客様から様々なメーカー、様々な機種の持ち込み調整&チューンを承っており、過去のデータが揃っているため迅速かつ適切な調整が出来ます。



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インナーバレル末端、チャンバー側のホップ窓が、画像のように極めていい加減な加工のままになっていました… これではまともな弾道など望むべくもありませんよね。



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リューターとヤスリによる手作業で、ご覧のようにホップ窓の形状を整えました。「ちゃんと飛ぶ」ようにするためには、この部分は大変重要なポイントです。この加工の完了後、インナーバレル内部を、強力パーツクリーナーで入念に洗浄しているのは言うまでもありません。



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ホップパッキンはいつもの通り、BATON airsoft ソフト面ホップアップパッキンセットに交換します。画像は、インナーバレルにシリコングリスを塗って、ソフト面ホップパッキンを取り付けた状態です。



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ソフト面ホップパッキンを取り付けたインナーバレルをチャンバーに挿し込み、チャンバー下部の給弾口から覗き込んだところ、ホップパッキンのリップが、給弾ルートにはみ出していないことが確認出来ました。この位置関係であれば、過去の調整レポートでご紹介した、リップをわずかに切り取って、BB弾の干渉をとる作業は不要となります。



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そのチャンバーは、メタルフレーム仕様のM4系電動ガンによく見られるメタルチャンバーが標準装備となっています。



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バレルの固定位置はバッチリでしたが、チャンバー内部のサイズを確認する必要があります。まずはソフト面ホップパッキンを取り付けたインナーバレルをチャンバーに挿し込んだ状態で、BB弾をパッキン内部に落とし込みます。



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そのBB弾をポンチの先端等で軽く押し込むと、BB弾がホップパッキンから開放され、インナーバレル内に転がり込むのですが、この際の抵抗の強さの度合いで、チャンバー内部のサイズが適切か否かがわかるのです。このバレットの場合、かなり抵抗が強く、つまりはチャンバー内部が狭く作られていたため、少しずつ削ることで、最適な内径に加工しました。この作業により、弾詰まりが発生する確率は格段に減っていると言えるでしょう。



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また、ホップダイヤルがガタついていたため、ダイヤルを固定しているネジを外したところ、ご覧のような寸法誤差が生じていました。この部分も過去記事同様、独自の加工でガタつきを無くし、回転に節度を与えています。



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次に、ホップアームを取り外した状態で、チャンバー内部の、押しゴムが入る部分に、ソフト面ホップパッキンの押しゴムを置いて・・・


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ポンチ等、先端が面になっている工具で、その押しゴムをチャンバー側に押し付けます。この際、押しゴムがまっすぐ押し込める様ならそのまま使えるのですが、前後どちらかにひっかかる感じがある場合は、その具合に合わせて押しゴムを切断する等といった加工が必要になります。



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このチャンバーの場合、押しゴムはまっすぐ押し込めたのですが、ホップアームを組み付けてダイヤルを回した際の、ホップパッキンのチャンバー内側への突き出し量が不足していました。この対策として押しゴムの厚みを増すため、加工に失敗して廃材となったホップパッキンを切り開いたものに、押しゴムを瞬間接着剤で貼付けました。



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余分なホップパッキンをカットした状態が上の画像です。バックにピントが合ってしまっていますが、押しゴムの厚みがかさ増しされているのがおわかりいただけると思います。この加工した押しゴムを使用することで、ホップパッキンの適切な突き出し量が得られるようになったわけですね。



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チャンバーまわりの加工が完了したところで、アッパーレシーバーを組み立てるのですが、先に御覧頂いたバレルスペーサーは、インナーバレルに被せた後、その前後にマスキングテープを巻いて動かないように固定しました。何故マスキングテープなのかと申せば、このスペーサーを接着等で固定してしまうと、アッパーレシーバーからインナーバレルを取り出すことが出来なくなってしまうのがその理由です。先にご覧いただいた、スペーサーがいい加減な方法で固定されていた状態は、テープの巻き方が甚だずさんではあったものの、方法としては間違っていなかったということですね。



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インナーバレルをアッパーレシーバーに挿しこみ、スペーサーを固定してからアウターバレルを取り付ければ、アッパーレシーバーの組み立ては完了ですが、アッパーとロアーを組み付ける際には、分解時と同様に注意が必要です。上画像、赤い矢印で指した部分の、アッパーレシーバー側の突起と、黄色い矢印で指したロアーレシーバー側の壁状の部分が、画像のような位置関係になるところで組み合わせないと、やはり給弾ノズルが破損してしまうのです。



調整内容レポート その5(Snow Wolf バレット M107A1:後編)

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上記の点に注意して上下レシーバーを組み合わせ、後方にスライドする際、メカボックス先端の給弾ノズルの位置が、チャンバーの中心に合っているかを必ず確認してから、組み立てを完了しています。



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すべての調整を完了し、元通り組み上げ、まずは初速をチェックしたところ、91m/s前後の適正値に仕上がっていました。しかし、初速だけでは実射性能が語れないことは、前回記事冒頭でご覧いただいた通りです。調整前と同じ、トリガートーク様の40mインドアシューティングレンジにて行った弾道テストの模様を、以下の動画でご覧くださいませ。

 

今度は弾道がバッチリ映っていてホッとしましたが、ホップ調整して行くことで弾道が伸びて行き、セミオートで30m先のフライパンにカンカン当たっているのがおわかりいただけると思います。サイト無しで、弾道を見ながらでの射撃でもこれだけの精度が出ているのですから、調整前後の性能差は一目瞭然です。

フルオートの弾道も、BB弾がきれいに揃って飛んで行くのがご覧いただけると思います。箱出しでは散弾銃のようでしたが、入念に手を入れることで、これだけの性能が引き出せるのですから、本中華電動ガンも捨てたものではないのです。





弊社の熟練チューナーによって、潜在的な性能を最大限に引き出された、調製済み・保証付き電動ガン、Snow Wolf バレット M107A1。在庫のあるうちに、是非ともご検討ください!!

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