調整内容レポート その15(AGM ステンMK2 爆音流速チューン:後編)
Gunsmithバトン基本調整内容レポートGunsmithバトン基本調整内容レポート、AGM ステンMK2 【持ち込み】爆音☆流速チューンの後編をお届けいたします。(前編はこちら、中編はこちら)
唐突にフライス盤加工の様子をご覧いただきましたが、これはピストン両側面の溝を削っているところです。
中編でご紹介した、スパーギヤとの干渉を取り除く加工の後、メカボックスに組み込んでみたところ、上述の溝がわずかに浅く、ピストンがスムーズに動かなかったのですね。このため、溝の底面を0.5mmほど削ったわけです。
フライス盤による加工で生じたバリを手作業で丁寧に取り除いた状態がこちらです。ピストンだけで結構な手間がかかってしまいましたが、爆音☆流速チューンを施工するには強化ピストンが必須となるため、これは避けて通れない工程なのです。
加工を終えたピストンを含めた内部パーツを組み付けたメカボックスに、BATON airsoft 電動ガン用スプリングを組み込みます。
すると、元々入っていたスプリングガイドとサイズが合わず、途中で引っかかってしまうことがわかりました。このスプリングガイドは樹脂製で中空のため、旋盤で削って・・・というわけには行きません。
弊社にて取り扱い中の商品には適合するものがなかったので、こういう時のためにストックしてあるパーツの中からサイズの合うスプリングガイドを見つけました。ベアリングの厚み分、スプリングがかさ上げされるので、ひと巻ほどカットしてから組み込みます。
こちらはもともと入っていた逆転防止ラッチですが、このタイプのラッチは担当チューナーの経験上、折れやすいと思われるため、組み立ての際、SHS製の逆転防止ラッチに交換しています。
主にピストンの加工で時間がかかりましたが、これでメカボックス内部の調整は完了です。当然この状態でもバッテリーを繋いで動かしていますが、スプリングの負荷がかかった状態でもギヤの音は変わらず、スムーズな作動が確認出来ました。
さて、ここからはチャンバーとバレルまわりの調整にかかります。まずはアッパーレシーバーから、画像のようにチャンバーまわりを引き抜きます。
こちらが、レシーバーから引き出したインナーバレルとチャンバーですね。インナーバレルは真鍮製のしっかりしたものが使われていますが、爆音☆流速チューンとして仕上げるために、適切な長さにカットする必要があります。
いつも通り、旋盤加工でインナーバレルを切断します。上述したように、エアーノズルが細いことを見越して、170mmの長さにカットしました。
今回は切断したバレルも並べて撮ってみました。こうした方が、どれくらいカットしたかが感覚的にわかりやすいですよね。
インナーバレルの先端付近に刻まれた溝は、アウターバレル内でのブレを防止するためのOリングをはめるものなので、これも旋盤加工でしっかり再現しました。
こちらはインナーバレル末端のホップ窓ですが、リューターによる加工で、窓の形状を整えています。この窓の歪みは、ホップ調整の狂いに直結するので、丁寧に仕上げています。
次は、ご覧の位置にシールテープを巻きつけ、ホップ窓まわりを除いた周囲にシリコングリスを薄く塗り付け・・・
シールテープを巻き込まないよう、ホップアップパッキンを慎重に被せて、外周にシリコングリスを塗付しました。今回はホップアップまわりの構造を考慮して、東京マルイ製のホップアップパッキンを使用しています。
こちらはチャンバー部分のアップですが、一般的なチャンバーと違って、給弾口となるパイプが、左横に突き出しています。これは、マガジンを銃本体の左横に差し込む、ステン独特の構造を再現するたの作りですね。
また、ホップアップを調整するためのダイヤル類が見当たりませんが、これはチャンバー上部に見えるホップアップレバーを・・・
画像中央の穴の奥に見えるイモネジが、直接押し込む構造となっているためなのです。なお、この画像は、実銃で言うところのマガジンハウジングを、銃本体の下側に回した状態を撮ったものです。AGM製のステンは、ホップ調整の際にマガジンハウジングのロックを解いて、反時計回りに45度ひねり、射撃時には逆の手順を踏む必要があります。他の電動ガンには見られない独特の構造ですが、実銃のデザインを忠実に再現するために採られた、面白い設計ですよね。
そしてこちらのパーツが、上述したイモネジで押し込まれるホップアップレバーです。中央左寄りの下側に見える切り欠きに押しゴムをセットするのですが、この形状ではいくらイモネジを回しても、ホップレバーが下がらないため、現物合わせで適切な形状に加工しました。
調整が完了したインナーバレルとチャンバーをアッパーレシーバーに挿入し、メカボックスを組み付けます。この状態ではまだ、アッパーレシーバーとメカボックスはまったく固定されていませんので・・・
こちらのロアレシーバーを組み付けることで、両者がしっかり固定されるのです。しかし、その前にやるべきことが残っておりますので、ロアレシーバーはひとまず置きましょう。
やるべきことというのは、分解の冒頭で取り外した、スイッチ部分の配線の引きなおしですね。爆音☆流速チューンとして施工するため、通電効率の高い1.25sqのシリコンコードを使っています。
また、良く言えばシンプル、はっきり言うと大雑把な作りのスイッチを保護するため、BATON airsoft FETスイッチデバイス・高効率配線セットを取り付けました。スイッチの互換パーツの入手が難しいAGM製ステンなので、FETの装着は必須ですよね。
配線を引きなおし、FETスイッチデバイスを取り付けたところで、ロアレシーバーを組み付け、弾速チェックを行ったところ、法定内初速ではあったものの、弊社規定より若干高い数値が出たため、再度分解してインナーバレルを10mmほどカットしました。
その上で三度組み立てたステンの初速を計ると、0.25gのBB弾で82m/s(0.84J)前後という、弊社規定に沿った数値にまとまりました。初速が決まったところで、いつものようにトリガートーク様の40mレンジにて弾道の直進性と集弾性のチェックを行いました。今回もその様子を撮影しましたので、以下の動画をご覧くださいませ。
今回はデジカメの設定をいじって、30fpsで撮影してみたのですが、BB弾の軌道はご覧いただけますでしょうか。横向きにセットされる都合上ノーマルマガジンになっているため、発射弾数が少なめですが、30m付近でホップ気味になりつつ飛んでいくのがおわかりいただけると思います。これは、0.25gの重量弾でもまだホップ調整を抑え気味に出来るということですので、流速チューンの効果が十二分に発揮されている証拠ですね。弾のバラつきもほとんど見られず、集弾性に優れているのも、重量弾に適切なホップをかけられる流速チューンならではの効果です。
今回はステンMK2という、構造が少し特殊な電動ガンへの調整&チューンをご紹介しましたが、もともとの構成部品を活かして作る爆音☆流速チューンなら、このようにほとんどの電動ガンに施工することが可能です。
こだわり抜いた愛銃でフィールドを駆け抜けていらっしゃる皆様は、さらなる戦果を上げるために、Gunsmithバトンの爆音☆流速チューンの導入を、是非ともご検討くださいませ。
爆音☆流速チューン
唐突にフライス盤加工の様子をご覧いただきましたが、これはピストン両側面の溝を削っているところです。
中編でご紹介した、スパーギヤとの干渉を取り除く加工の後、メカボックスに組み込んでみたところ、上述の溝がわずかに浅く、ピストンがスムーズに動かなかったのですね。このため、溝の底面を0.5mmほど削ったわけです。
フライス盤による加工で生じたバリを手作業で丁寧に取り除いた状態がこちらです。ピストンだけで結構な手間がかかってしまいましたが、爆音☆流速チューンを施工するには強化ピストンが必須となるため、これは避けて通れない工程なのです。
加工を終えたピストンを含めた内部パーツを組み付けたメカボックスに、BATON airsoft 電動ガン用スプリングを組み込みます。
すると、元々入っていたスプリングガイドとサイズが合わず、途中で引っかかってしまうことがわかりました。このスプリングガイドは樹脂製で中空のため、旋盤で削って・・・というわけには行きません。
弊社にて取り扱い中の商品には適合するものがなかったので、こういう時のためにストックしてあるパーツの中からサイズの合うスプリングガイドを見つけました。ベアリングの厚み分、スプリングがかさ上げされるので、ひと巻ほどカットしてから組み込みます。
こちらはもともと入っていた逆転防止ラッチですが、このタイプのラッチは担当チューナーの経験上、折れやすいと思われるため、組み立ての際、SHS製の逆転防止ラッチに交換しています。
主にピストンの加工で時間がかかりましたが、これでメカボックス内部の調整は完了です。当然この状態でもバッテリーを繋いで動かしていますが、スプリングの負荷がかかった状態でもギヤの音は変わらず、スムーズな作動が確認出来ました。
さて、ここからはチャンバーとバレルまわりの調整にかかります。まずはアッパーレシーバーから、画像のようにチャンバーまわりを引き抜きます。
こちらが、レシーバーから引き出したインナーバレルとチャンバーですね。インナーバレルは真鍮製のしっかりしたものが使われていますが、爆音☆流速チューンとして仕上げるために、適切な長さにカットする必要があります。
いつも通り、旋盤加工でインナーバレルを切断します。上述したように、エアーノズルが細いことを見越して、170mmの長さにカットしました。
今回は切断したバレルも並べて撮ってみました。こうした方が、どれくらいカットしたかが感覚的にわかりやすいですよね。
インナーバレルの先端付近に刻まれた溝は、アウターバレル内でのブレを防止するためのOリングをはめるものなので、これも旋盤加工でしっかり再現しました。
こちらはインナーバレル末端のホップ窓ですが、リューターによる加工で、窓の形状を整えています。この窓の歪みは、ホップ調整の狂いに直結するので、丁寧に仕上げています。
次は、ご覧の位置にシールテープを巻きつけ、ホップ窓まわりを除いた周囲にシリコングリスを薄く塗り付け・・・
シールテープを巻き込まないよう、ホップアップパッキンを慎重に被せて、外周にシリコングリスを塗付しました。今回はホップアップまわりの構造を考慮して、東京マルイ製のホップアップパッキンを使用しています。
こちらはチャンバー部分のアップですが、一般的なチャンバーと違って、給弾口となるパイプが、左横に突き出しています。これは、マガジンを銃本体の左横に差し込む、ステン独特の構造を再現するたの作りですね。
また、ホップアップを調整するためのダイヤル類が見当たりませんが、これはチャンバー上部に見えるホップアップレバーを・・・
画像中央の穴の奥に見えるイモネジが、直接押し込む構造となっているためなのです。なお、この画像は、実銃で言うところのマガジンハウジングを、銃本体の下側に回した状態を撮ったものです。AGM製のステンは、ホップ調整の際にマガジンハウジングのロックを解いて、反時計回りに45度ひねり、射撃時には逆の手順を踏む必要があります。他の電動ガンには見られない独特の構造ですが、実銃のデザインを忠実に再現するために採られた、面白い設計ですよね。
そしてこちらのパーツが、上述したイモネジで押し込まれるホップアップレバーです。中央左寄りの下側に見える切り欠きに押しゴムをセットするのですが、この形状ではいくらイモネジを回しても、ホップレバーが下がらないため、現物合わせで適切な形状に加工しました。
調整が完了したインナーバレルとチャンバーをアッパーレシーバーに挿入し、メカボックスを組み付けます。この状態ではまだ、アッパーレシーバーとメカボックスはまったく固定されていませんので・・・
こちらのロアレシーバーを組み付けることで、両者がしっかり固定されるのです。しかし、その前にやるべきことが残っておりますので、ロアレシーバーはひとまず置きましょう。
やるべきことというのは、分解の冒頭で取り外した、スイッチ部分の配線の引きなおしですね。爆音☆流速チューンとして施工するため、通電効率の高い1.25sqのシリコンコードを使っています。
また、良く言えばシンプル、はっきり言うと大雑把な作りのスイッチを保護するため、BATON airsoft FETスイッチデバイス・高効率配線セットを取り付けました。スイッチの互換パーツの入手が難しいAGM製ステンなので、FETの装着は必須ですよね。
配線を引きなおし、FETスイッチデバイスを取り付けたところで、ロアレシーバーを組み付け、弾速チェックを行ったところ、法定内初速ではあったものの、弊社規定より若干高い数値が出たため、再度分解してインナーバレルを10mmほどカットしました。
その上で三度組み立てたステンの初速を計ると、0.25gのBB弾で82m/s(0.84J)前後という、弊社規定に沿った数値にまとまりました。初速が決まったところで、いつものようにトリガートーク様の40mレンジにて弾道の直進性と集弾性のチェックを行いました。今回もその様子を撮影しましたので、以下の動画をご覧くださいませ。
今回はデジカメの設定をいじって、30fpsで撮影してみたのですが、BB弾の軌道はご覧いただけますでしょうか。横向きにセットされる都合上ノーマルマガジンになっているため、発射弾数が少なめですが、30m付近でホップ気味になりつつ飛んでいくのがおわかりいただけると思います。これは、0.25gの重量弾でもまだホップ調整を抑え気味に出来るということですので、流速チューンの効果が十二分に発揮されている証拠ですね。弾のバラつきもほとんど見られず、集弾性に優れているのも、重量弾に適切なホップをかけられる流速チューンならではの効果です。
今回はステンMK2という、構造が少し特殊な電動ガンへの調整&チューンをご紹介しましたが、もともとの構成部品を活かして作る爆音☆流速チューンなら、このようにほとんどの電動ガンに施工することが可能です。
こだわり抜いた愛銃でフィールドを駆け抜けていらっしゃる皆様は、さらなる戦果を上げるために、Gunsmithバトンの爆音☆流速チューンの導入を、是非ともご検討くださいませ。
爆音☆流速チューン