東京マルイ AA-12 メカボ分解:後編
今回はあまりお待たせせずに済みましたね。東京マルイさんの新製品、AA-12電動ショットガンのメカボックス分解レポート:後編をお届けいたします。(前編はこちら、中編はこちら、外装分解編はこちら)
前回記事にてピストンまわりの構造が明らかになったところで、今回はシリンダーユニットから見て行きましょう。
はい、こちらがシリンダーユニットですね。トリガーの形からおわかりいただけるとは思いますが、画像右が銃口側になります。左側に突き出した白いフック状パーツは、給弾ノズルを後退させる、いわばタペットプレートの役割を果たしています。
このように、ピストン下部に設けられた切り欠きにフックが引っ掛かり、ピストンの後退とともにノズルを引き下げるわけですね。このフックは、ある程度後退したところで開放され、ノズルが前進する仕組みです。
上述した給弾ノズルは、ご覧のように3本が突き出した形で、ノズル基部の黒いパーツごと前後する構造になっています。ちょっとガトリングガンっぽくてカッコイイけど、もちろん回転はしませんので念のため。
ノズルの反対側、シリンダーユニット後方から見た状態がこちらです。従来タイプよりも細いシリンダーが3本束ねられていますね。シリンダーの奥には、中央にまとめられるように開いた、エアーの吐出孔が確認出来ます。
ちょっとわかりにくい画像ですが、シリンダーの内径を測っているところです。従来タイプの電動ガン用シリンダーの内径が約24mmですから、約15mmというのはかなりの細さですが、その分、長くすることで、容量を稼いでいるようです。
さてこのシリンダーですが、グリスが塗られている様子が見受けられませんでした。油分が必要無い設計なのかもしれませんが、ここは通常調整に則って、シリコングリスを薄く塗布してみました。
ピストンヘッドまわりもノンオイル状態だったので、ピストンOリングの入る部分にくシリコングリスを充填しています。これによって初速が低下する可能性はありますが、試す価値はありますよね。
ギヤボックスには適切なグリスアップが施されていましたが、こちらも念のため、
ピストン本体のラックギヤ部分にもグリスを塗布しました。
さてさて、最後はチャンバーまわりを見て行きましょう。まずは3発のBB弾を同時発射するための仕組みがどのようになっているかについてですが・・・
チャンバーユニットを後から覗くと、ご覧のような構成になっていました。3本のインナーバレル末端、ホップアップパッキンのリップの後に設けられたローディングゲートの内側でBBストッパーが下がり、BB弾を保持する仕組みのようですね。
こちらが、チャンバーにBB弾を入れてみた状態です。給弾ノズルが後退した瞬間にマガジンから上がって来たBB弾は3つのチェンバーに振り分けられ、その直後にBBストッパーで保持されているのですね。絶妙なクリアランスとタイミングによって実現されている、綱渡りのような給弾システムは、さすが東京マルイさんならではの設計だと思います。
さてそのチャンバーユニットの分解ですが、3つ並んだホップ調整ダイヤル側に見える3本のネジを外すことで、ご覧のようにチャンバーケースが開き、チャンバーセットが現れました。いったいどのような仕組みで、3つのホップアップパッキンの調整を可能としているのでしょうか。
こちらはそのチャンバーセットを上と左右から写した画像です。それぞれの調整ダイヤルから伸びたアームが、3箇所に分かれているのがおわかりいただけるでしょうか。
そのチャンバーセットを分解した状態がこちらです。ホップアップ調整ダイヤルまわりと、BB弾を押さえるローディングゲート部分の分解は止めておきました。
ホップアップパッキンは、マルイさんがほとんどの電動ガンに使っているものと同じです。こうした部分を従来製品と共通化するのは、コストダウンのための常道ですね。
こちらはチャンバー部分を後方から覗いたところです。画像が上下逆で申し訳ありません。頂点にあるチャンバーは、従来通りパイプ状の押しゴムでテンションをかける構造です。しかし、左右に並んだ下側2つのチャンバーは、ホップアームがダイレクトにホップアップパッキンを、それも斜めから押し下げる形となっています。
当記事のための分解前に試射したところ、20~30メートルでのBB弾の広がり方が不安定という印象がありました。これは上述したホップアームの構造が原因かもしれないので、適切なテンションがかかるよう、ちょっとした加工を施してみました。上の画像は、チャンバーにホップアップパッキンを入れて、加工後のホップアームを押し込んだ状態です。加工前よりも、ホップパッキンの突き出し方が柔らかくなったように思える(比較画像がなくてごめんなさい)のですが、果たして弾道にどのような影響が出るものでしょうか。
以上、おおよその内部構造がわかったところで、AA-12を元通り組み立て、トリガートーク様のインドアレンジにて、弾道と散らばり具合を確認してみました。その様子を撮影しましたので、以下の動画を是非ともご覧くださいませ。
この動画は、シューティングレンジ奥のターゲットまで30mの射座から撃った様子を収めたものです。ハイパ~道楽さんのAA-12フィールドテストの記事内で公開されている動画と見比べていただければ、3発のBB弾がよりまとまって飛んで行く様子がおわかりいただけるかと思います。動画の中でも思わず言っておりますが、「すげぇ良くなった!」というのが正直な印象でした。なんとも抽象的で申し訳ない限りですが(汗)
以上、都合4回に渡ってお届けしたAA-12の分解記事は、弊社が電動ガンチューニングショップとして、この製品のハイサイクル化や流速化が出来ないものかと検証する際の様子をレポートしたものです。しかしこの新機軸電動ガンは、第三者が内部を弄ることを一切許さない、ギリギリのバランスで成立している奇跡のような製品でした。そもそも、メカボックス各部に使われているネジの種類と長さが多岐にわたっているため、無計画に分解すれば、元に戻すことすら出来ないだろうと思われます。
今回、AA-12の内部構造を検証し、弊社が出した結論は、“ 東京マルイさんのAA-12のサイクルアップ、飛距離アップ等の調整は承らない ” でした。
※みなさまのご要望にお応えして、『 【持ち込み】 AA-12 ストレートホップ化加工 』 を4990円にて承ります。中距離でも弾が集束する弾道となります。
尚、以前にも当ブログにてお知らせしましたが、今回の検証に使用したAA-12は、GunsmithBATONアキバ店にて、レンタルガンとしての貸出を行っております [ レンタル代 15分 250円(税抜) ・ レンジ使用料 15分 250円(税抜) ] 。お陰様でレンタル開始以来、「一度撃ってみたかった!」と、多くのお客様にご利用いただいております。3発同時発射フルオートの迫力を体験してみたい方は、是非とも当アキバ店にお越しくださいませ!