[ マルゼン ] APS SR96 内部・実射レビュー 【APSカップライフル】
BATON's blog 読者の皆様おはようございます。バトンスタッフのナベでございます。
前回の外観編に引き続き、マルゼンAPS SR96-20S・APS SR96-11Sのレビュー、内部・実射編をお届けします。
※製品にスコープは付属しません。
※この写真は蔵前工房舎製「アンシュッツタイプアドバンストグリップ」と「レイサースペーサー(高さを調整。近日発売予定)」を取り付けた状態です。
まずは機関部の土台としてType96同様の金属製インナーシャシーが入っています。
これにより決まった位置にがっしりと機関部を固定できるようになっています。
そしてマルゼンさんからのアナウンスにもあったように、シア周りにいくつかの変更点がありますので詳しく見ていきましょう。
写真左側がSR96、右側がType96リミテッド2021モデルのトリガーボックスとなります。
比較してみると、SR96の方はシアAが大幅に削られており、シアAとBかみ合わせが非常に浅くなっています。これは主にトリガーストロークのセカンドステージ領域が短くなる効果がありますが、かなり攻めたセッティングと言えます。
従来のシアでここまで攻めたセッティングにするとコッキング時にシアが掛からなかったり、暴発する恐れが出てくるのですが、それを解決する為に変更されているものが中央のステンレスピンです。
従来のスチールピンは外径2.96mmでトリガーBOXに対してもシアBに対してもガタガタユルユルでしたが、新しくなったステンレスピンは外径3.08mmと非常にタイトでガタやゆるみは一切ありません。
APS-3LE2020で採用されて以来となるステンレスピンですが、シアのガタを減らすという事は、ガタの分マージンを取る必要がなくなり、よりセッティングを詰める事が可能になります。更に、トリガーを引いたら引いた分だけシアを動かす事にも繋がり、トリガーフィーリングの向上、コントロール性の向上も期待できます。
以前は一部のシューターが個人的に施工するようなものでしたが、メーカーが純正で採用してくれるのはありがたい事ですね!
もう一点、トリガーベースとシアBの接触部分も変更されています。
Type96ではファーストステージからトリガーベースとシアBが接触しており、シアB側にセカンドステージを知らせる為の段差が設けられていました。
SR96ではこの方式を改め、ファーストステージ領域ではトリガーベースとシアは非接触となっておりトリガースプリングのテンションのみがトリガーに掛った状態となります。これによりType96のヌルっとしたトリガーフィーリングは無くなり、ファーストステージとセカンドステージの境目がはっきりクッキリ感じられるように改善されています。
トリガーベースはType96リミテッド2021モデルと共通で、トリガーはAPS-1のトリガーと共通です。トリガーの前後位置調整と左右回転方向の調整が可能となっています。
※ トリガーの左右回転方向の調整ネジは、締めすぎると根元から折れる事があるのでご注意ください。
さて、お次はセットピンです。
こちらもアルミストックとの都合上、セットピンがトリガーボックスの内側に収まっている形に変更されています。シリンダーメンテナンス等でセットピンを取り外す際にトリガーボックスを装着したままではセットピンを抜く事が出来ず、トリガーボックスごと外す必要があります。
蔵前工房舎ではセットピン下面にM3のネジ穴を追加加工する持ち込み加工メニューと、ネジ穴加工済みセットピンの単品販売を開始しました。
これにより付属のネジをセットピンのネジ穴に入れて引き抜く事によりトリガーボックスを外す事なくセットピンを取り外せます。
さらに、持ち込み加工でストック側のセットピンの部分に穴を開ける加工メニューも用意しました。上記のネジ穴加工済みセットピンと組み合わせる事でストックに機関部乗せたままセットピンを抜く事が可能になります。以上の加工によりメンテナンス性は大幅に向上しますので是非ご検討下さい。
※流速☆極コンプリートは上記セットピンとストック穴あけ加工が標準で施工されます。
さて続いてシリンダーを見ていきましょう。
ご覧のように、カシメなしのシリンダーとなっており、ピストンは従来通りのピストンカップ式となっています。
純正ピストンでも気密は完璧に取れていました。またチャンバーから先の気密もばっちりで、目立たない基礎的な性能をキッチリ仕上げて来たマルゼンさんの意気込みを感じます。
続いて、チャンバーから先をご覧下さい。
分解してみて驚いたのですが、大幅にショート化されたインナーバレルとショート化した部分をマズルまで繋ぐインナースリーブ。そしてインナーバレルとインナースリーブの間にはインナースリーブを固定する為のスプリングが装備されています。
「SR96は御社の流速☆極チューンを参考にショートバレル化しました」とマルゼンさんから事前にお話は伺っていたのですが、インナースリーブとバレルスペーサーはアルミ削り出しで部品が使われており、マルゼンさんの本気度がヒシヒシと伝わってきます。
Type96との変更点は
インナーバレル長:Type96 約498mm → SR96 約380mm
チャンバー:Type96 可変HOPチャンバー → SR96 ノンHOPダブルチャンバーパッキン(APS-1・3と同じ)
インナーバレル内径:Type96 約6.05mm→ SR96 6.15mm
マズルキャップ内側はインナースリーブの外径に合わせて10mmに拡大されています。
それでは実射してみましょう。
まず初速ですは0.2g BB弾で 86m/s前後、スーパーグランドマスターBB弾 (0.28g ) で76m/s前後でした。
初速自体はいつもの数値ですがスーパーグランドマスターBB弾で10発測定した時のバラツキが僅か0.6m/s以内に収まっており非常に安定しています。
実際に撃ち始める前にストックのチークピース高さや、バットプレートの位置を体に合わせて調整します。
実銃の競技銃はストックの中心が銃身軸より外側にオフセットされているモデルが多く、構えた時に機関部が体に近づくようになっています。
SR96のストック中心は銃身軸と同一なのでチークピースとバットプレートの左右の位置を外側に移動させると構え易くなります。
また、前回お話ししたグリップについてですが、ノーマルグリップと 蔵前工房舎製 アンシュッツタイプアドバンスドグリップ の違いをご覧下さい。
ノーマルグリップは手首を返すような形で、グリップを握るという動作を意識をしなければならないのですが、アンシュッツタイプアドバンスドグリップでは手首は真っ直ぐストレスなく自然な形で、握るというより手を添えるというイメージです。
また写真では見えないのですが、手のひらに当たる部分が、手首の角度に合わせた形状になっており力を入れる事無く安定して保持する事ができます。
中々文章で伝えるのは難しいのですが、構えてみれば違いはハッキリ体感して頂けるかと思います。
それでは10m、三脚依託で撃ちます。
BB弾はスーパーグランドマスターBB弾、無選別で撃った結果がこちら。
……正直、ちょっと物足りないグルーピングなのでBB弾を選別してみます。
選別には蔵前工房舎製BB弾ゲージを使用し、5.96~5.98mmの間のモノを使用しました。
選別弾での結果がこちら。ギリギリ10点圏に収まるくらいですね。ただ、10発中2発程度フライヤーが出る事が多く、毎回これくらいにまとめる事は難しい印象でした。
多いパターンは、この様に概ねまとまっていても 1、2発ピョンと飛んでいく感じで、100点を出すのは難しいのですが、ノーマル箱出しでこれくらいなら良い方ではないでしょうか。
APSカップライフルクラスは、ハンドガンと、同じ標的、同じBB弾、同じような弾速で、標的までの距離だけはハンドガンの2倍の10mですからね。
これ以上の集弾性を求める方は、流速☆極コンプリートをご用意していますので、こちらをどうぞ。
※現在、SR96 流速☆極コンプリートは沢山のご注文を頂いており、順番に製作しております。お待たせしてしまい大変申し訳ありませんが、お届けまで今しばらくお待ちください。
以上、待望の新型APS競技用ライフル、マルゼンAPS SR96-20S・APS SR96-11Sのレビューでした。
蔵前工房舎ではAPS SR96シリーズ用の純正オプションパーツやカスタムパーツ、加工メニューをご用意しています。
蔵前工房舎 APS-SR96用アンシュッツタイプアドバンスドグリップ
マルゼン APS SR96-20S /11S 流速☆極コンプリート
マルゼン APS-SR96用 11mm幅プレジションサイトベース(フロント/リア)
マルゼン APS-SR96用11mmハイサイトブロック(フロント/リア)
その他はこちらをご覧下さい→SR96関連パーツ、加工メニュー
限定モデルではないレギュラーモデルとしては久々の新型ライフルとなります。ものすごい勢いで在庫が減っていますので、お早めにどうぞ。
前回の外観編に引き続き、マルゼンAPS SR96-20S・APS SR96-11Sのレビュー、内部・実射編をお届けします。
※製品にスコープは付属しません。
※この写真は蔵前工房舎製「アンシュッツタイプアドバンストグリップ」と「レイサースペーサー(高さを調整。近日発売予定)」を取り付けた状態です。
まずは機関部の土台としてType96同様の金属製インナーシャシーが入っています。
これにより決まった位置にがっしりと機関部を固定できるようになっています。
そしてマルゼンさんからのアナウンスにもあったように、シア周りにいくつかの変更点がありますので詳しく見ていきましょう。
写真左側がSR96、右側がType96リミテッド2021モデルのトリガーボックスとなります。
比較してみると、SR96の方はシアAが大幅に削られており、シアAとBかみ合わせが非常に浅くなっています。これは主にトリガーストロークのセカンドステージ領域が短くなる効果がありますが、かなり攻めたセッティングと言えます。
従来のシアでここまで攻めたセッティングにするとコッキング時にシアが掛からなかったり、暴発する恐れが出てくるのですが、それを解決する為に変更されているものが中央のステンレスピンです。
従来のスチールピンは外径2.96mmでトリガーBOXに対してもシアBに対してもガタガタユルユルでしたが、新しくなったステンレスピンは外径3.08mmと非常にタイトでガタやゆるみは一切ありません。
APS-3LE2020で採用されて以来となるステンレスピンですが、シアのガタを減らすという事は、ガタの分マージンを取る必要がなくなり、よりセッティングを詰める事が可能になります。更に、トリガーを引いたら引いた分だけシアを動かす事にも繋がり、トリガーフィーリングの向上、コントロール性の向上も期待できます。
以前は一部のシューターが個人的に施工するようなものでしたが、メーカーが純正で採用してくれるのはありがたい事ですね!
もう一点、トリガーベースとシアBの接触部分も変更されています。
Type96ではファーストステージからトリガーベースとシアBが接触しており、シアB側にセカンドステージを知らせる為の段差が設けられていました。
SR96ではこの方式を改め、ファーストステージ領域ではトリガーベースとシアは非接触となっておりトリガースプリングのテンションのみがトリガーに掛った状態となります。これによりType96のヌルっとしたトリガーフィーリングは無くなり、ファーストステージとセカンドステージの境目がはっきりクッキリ感じられるように改善されています。
トリガーベースはType96リミテッド2021モデルと共通で、トリガーはAPS-1のトリガーと共通です。トリガーの前後位置調整と左右回転方向の調整が可能となっています。
※ トリガーの左右回転方向の調整ネジは、締めすぎると根元から折れる事があるのでご注意ください。
さて、お次はセットピンです。
こちらもアルミストックとの都合上、セットピンがトリガーボックスの内側に収まっている形に変更されています。シリンダーメンテナンス等でセットピンを取り外す際にトリガーボックスを装着したままではセットピンを抜く事が出来ず、トリガーボックスごと外す必要があります。
蔵前工房舎ではセットピン下面にM3のネジ穴を追加加工する持ち込み加工メニューと、ネジ穴加工済みセットピンの単品販売を開始しました。
これにより付属のネジをセットピンのネジ穴に入れて引き抜く事によりトリガーボックスを外す事なくセットピンを取り外せます。
さらに、持ち込み加工でストック側のセットピンの部分に穴を開ける加工メニューも用意しました。上記のネジ穴加工済みセットピンと組み合わせる事でストックに機関部乗せたままセットピンを抜く事が可能になります。以上の加工によりメンテナンス性は大幅に向上しますので是非ご検討下さい。
※流速☆極コンプリートは上記セットピンとストック穴あけ加工が標準で施工されます。
さて続いてシリンダーを見ていきましょう。
ご覧のように、カシメなしのシリンダーとなっており、ピストンは従来通りのピストンカップ式となっています。
純正ピストンでも気密は完璧に取れていました。またチャンバーから先の気密もばっちりで、目立たない基礎的な性能をキッチリ仕上げて来たマルゼンさんの意気込みを感じます。
続いて、チャンバーから先をご覧下さい。
分解してみて驚いたのですが、大幅にショート化されたインナーバレルとショート化した部分をマズルまで繋ぐインナースリーブ。そしてインナーバレルとインナースリーブの間にはインナースリーブを固定する為のスプリングが装備されています。
「SR96は御社の流速☆極チューンを参考にショートバレル化しました」とマルゼンさんから事前にお話は伺っていたのですが、インナースリーブとバレルスペーサーはアルミ削り出しで部品が使われており、マルゼンさんの本気度がヒシヒシと伝わってきます。
Type96との変更点は
インナーバレル長:Type96 約498mm → SR96 約380mm
チャンバー:Type96 可変HOPチャンバー → SR96 ノンHOPダブルチャンバーパッキン(APS-1・3と同じ)
インナーバレル内径:Type96 約6.05mm→ SR96 6.15mm
マズルキャップ内側はインナースリーブの外径に合わせて10mmに拡大されています。
それでは実射してみましょう。
まず初速ですは0.2g BB弾で 86m/s前後、スーパーグランドマスターBB弾 (0.28g ) で76m/s前後でした。
初速自体はいつもの数値ですがスーパーグランドマスターBB弾で10発測定した時のバラツキが僅か0.6m/s以内に収まっており非常に安定しています。
実際に撃ち始める前にストックのチークピース高さや、バットプレートの位置を体に合わせて調整します。
実銃の競技銃はストックの中心が銃身軸より外側にオフセットされているモデルが多く、構えた時に機関部が体に近づくようになっています。
SR96のストック中心は銃身軸と同一なのでチークピースとバットプレートの左右の位置を外側に移動させると構え易くなります。
また、前回お話ししたグリップについてですが、ノーマルグリップと 蔵前工房舎製 アンシュッツタイプアドバンスドグリップ の違いをご覧下さい。
ノーマルグリップは手首を返すような形で、グリップを握るという動作を意識をしなければならないのですが、アンシュッツタイプアドバンスドグリップでは手首は真っ直ぐストレスなく自然な形で、握るというより手を添えるというイメージです。
また写真では見えないのですが、手のひらに当たる部分が、手首の角度に合わせた形状になっており力を入れる事無く安定して保持する事ができます。
中々文章で伝えるのは難しいのですが、構えてみれば違いはハッキリ体感して頂けるかと思います。
それでは10m、三脚依託で撃ちます。
BB弾はスーパーグランドマスターBB弾、無選別で撃った結果がこちら。
……正直、ちょっと物足りないグルーピングなのでBB弾を選別してみます。
選別には蔵前工房舎製BB弾ゲージを使用し、5.96~5.98mmの間のモノを使用しました。
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選別弾での結果がこちら。ギリギリ10点圏に収まるくらいですね。ただ、10発中2発程度フライヤーが出る事が多く、毎回これくらいにまとめる事は難しい印象でした。
多いパターンは、この様に概ねまとまっていても 1、2発ピョンと飛んでいく感じで、100点を出すのは難しいのですが、ノーマル箱出しでこれくらいなら良い方ではないでしょうか。
APSカップライフルクラスは、ハンドガンと、同じ標的、同じBB弾、同じような弾速で、標的までの距離だけはハンドガンの2倍の10mですからね。
これ以上の集弾性を求める方は、流速☆極コンプリートをご用意していますので、こちらをどうぞ。
※現在、SR96 流速☆極コンプリートは沢山のご注文を頂いており、順番に製作しております。お待たせしてしまい大変申し訳ありませんが、お届けまで今しばらくお待ちください。
以上、待望の新型APS競技用ライフル、マルゼンAPS SR96-20S・APS SR96-11Sのレビューでした。
蔵前工房舎ではAPS SR96シリーズ用の純正オプションパーツやカスタムパーツ、加工メニューをご用意しています。
蔵前工房舎 APS-SR96用アンシュッツタイプアドバンスドグリップ
マルゼン APS SR96-20S /11S 流速☆極コンプリート
マルゼン APS-SR96用 11mm幅プレジションサイトベース(フロント/リア)
マルゼン APS-SR96用11mmハイサイトブロック(フロント/リア)
その他はこちらをご覧下さい→SR96関連パーツ、加工メニュー
限定モデルではないレギュラーモデルとしては久々の新型ライフルとなります。ものすごい勢いで在庫が減っていますので、お早めにどうぞ。